地域研修感想文
その他実際に患者様の自宅を訪問して行う訪問診療に対して正直に以前抱 いていた考えは「楽で患者様と浅く広く関わる医療」でした。
しかし、たった2週間ではありましたがその考えは大きく、 いい意味で変わりました。
まず、至極当たり前なのですが、「楽」ではないことです。 1日に回ることができる件数は病院と比べて圧倒的に少なく、 交通事情や患者様の家庭事情も考慮しながら効率的に訪問しなけれ ばならない。また、 いつでも患者様の要望に応えられる体制でいなければならない現実 も想像もしていませんでした。 その面では想像以上に患者様に深く関わり、 一緒になって問題を解決していく姿勢が重要であることも再認識さ せられました。
また、一つ認識を改めたことがあります。 それは患者の負担をできるだけ減らすことです。 これは病院でも言われることではありますが、 自覚できていない部分でもありました。 松尾先生と巻き爪のワイヤー治療についてお話させていただいた時 に、ろうさい病院では1本5千円の自費になっています、 とお伝えしたところ、 うちはサービスでやってあげたいと先生がおっしゃった時、 当たり前のように患者に負担を強いる思考回路になっていた自分が 恥ずかしくなったことを今でも覚えています。
あとは、 限られた医療資源の中で患者様に対応していくことの難しさも教え ていただきました。 病院では望んだものを使えるという恵まれた環境を当たり前と思っ てしまっていました。 縫合させていただいた時が特に思い出されますが、 今思い返せばほかにもこんなことができたはず、 あれをやるべきだったかなどと反省いたしております。
少しお話させていただいたかもわかりませんが、 私の親戚の町医者に跡取りがいない状態です。 可能性の一つとしてそこを引き継ぎ、 地域を支える身となるかもしれません。 その時に今回の研修での経験や考え方を少しでも生かせればと存じ ます。この度は貴重なお時間をいただき、 本当にありがとうございました。 これからも先生方と関われる機会に恵まれましたら、何卒、 ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
研修医 S・K